|
2007.05.31 夙川にて
先日, 兵庫県西宮市の夙川近辺を散策してきました.
このあたりは, 阪神間を代表する高級住宅地で, オシャレな地域ということになっています. 楽しめるネタがいっぱいある地域なので, この日もいろいろまわってきました.
そのなかのひとつ, 「浦邸」について書いておきたいと思います.
「浦邸」は, 1956年に竣工しました. 設計したのは, ル・コルビュジエの弟子ひとり, 建築家の吉阪隆正です. 吉阪の代表作には, DOCOMOMO
JAPANにも選ばれている「大学セミナーハウス」(1965)があります. 逆四角錐のヴォリュームが地面に突き刺さったようなセミナーハウスの本館は,
「ウルトラセブン」で科学特捜隊の建物としてロケがおこなわれたこともあるそうです.
「浦邸」では, 微妙に違和感を与えるような工夫が凝らされています。
例えば、正方形の平面をもつ2つのヴォリュームは, 平面的にも断面的にも微妙にズラして配置されています. 外壁のレンガは, 交互に直行させながら積み上げられ,
独特の表情をもつデコボコの外観をつくります. 何よりも特徴的なのは, 正方形ヴォリュームの4つの中点に配置された, くの字型断面のコンクリート柱です.
四隅に柱を配置しなかったことで1階のピロティはとても開放的になり, ヴォリュームの浮遊感も強調されています. また, 意匠的にも外観のアクセントとして効果的です.
「浦邸」の敷地は, 以前はもっと広くて, 道路からの引きも十分に確保されて落ち着いた雰囲気をもっていました. しかし, 近年におこなわれた前面道路の拡幅により,
建物がすっかり露出してしまい, 少し痛々しい感じになっています. もっと驚きなのは, 「浦邸」のお隣さんです. 新しく保育園ができたようなのですが,
その外観が「浦邸」を模したデザインなのです. とりあえず, びっくりします.
今回は, 個人住宅ですので, 外観を眺めるだけの見学でした. それでも, いろいろな工夫が見えてきて, なかなか楽しめましたよ.
それにしても, 陽射しが強くて暑い一日でした. にもかかわらず, ノーガードでたっぷり紫外線を浴びてしまいました. みなさん. これからの季節はお肌のケアをお忘れなく.
UZULAB-ma.
「浦邸」の外観. 道路際に建っていますが, 以前はもっと敷地が広く, 奥行き感がありました. ちょっと落ち着きがなくなった反面,
建物により近づけるようになりました.
外壁のディテール. 隣り合うレンガが直行するように積み上げられています. くの字型の柱とともに, 外観に独特の表情を与えています.
ピロティ部分です. 上部にヴォリュームが浮かんでいるにもかかわらず, なんだか開放的で気持ちいい空間だと思いました.
植栽との距離関係もいい感じでした.
そっくりさんがお隣に!!
|
|